プロタミンの循環動態に対する抑制機序:特にカテコールアミン分泌及びイオンチャンネルにおける解析
Project/Area Number |
06671560
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 助教授 (80140896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐多 竹良 産業医科大学, 医学部, 助教授 (60128030)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | カテコールアミン遊離 / 細胞内情報伝達 / 循環抑制 / 電位依存性Ca^<2+>チャンネル / 電位依存性Na^+チャンネル / ニコチン性アセチルコリン受容体-イオンチャンネル / 副腎髄質 / プロタミン |
Research Abstract |
プロタミンは、臨床においてヘパリンの拮抗薬として幅広く使用されている。その副作用として血圧低下、ショック様の症状などの循環抑制があり使用上問題となることがある。その原因として心臓への直接的抑制作用や、アレルギー反応、末梢血管拡張作用などが言われているが、結論を見ていない。著者らは以前より、培養ウシ副腎髄質細胞を交感神経系のモデルとして用い、カテコールアミン分泌及び生合成の調節機序について研究を行ってきた。そこで今回、この培養細胞でのプロタミンのカテコールアミン分泌,各種イオンチャンネル及び細胞内情報伝達経路に及ぼす影響について検討した。さらにこれらの影響をin vivoで確認する為に、ラットを用いてプロタミンの循環抑制効果を観察し、その時の血中カテコールアミン変動についても検討した。 その結果、(1)プロタミン(10mg/kg)をラットに投与すると、動脈圧及び血中ノルアドレナリン量を有意に抑制した。これらプロタミンの作用はヘパリン(1000U/kg)前処置により消失した。次に培養副腎髄質細胞を使用した実験では、プロタミン(10-50μg/ml)はカルバコール及びベラトリジン刺激によるカテコールアミン分泌、^<45>Ca^<2+>流入そして^<22>Na^+流入をほぼ同じ濃度により抑制した。又56mMK^+刺激によるカテコールアミン分泌及び^<45>Ca^<2+>流入も抑制した。これらの結果よりプロタミンはラットにおいて交感神経からのノルアドレナリン遊離を低下させる事により、動脈圧を減少させる事が示唆された。このプロタミンの抑制機序としてニコチン性アセチルコリン受容体-イオンチャンネルや電位依存性Na^+チャンネルを介するNa^+流入及び電位依存性Ca^<2+>チャンネルを介したCa^<2+>流入等を阻害する事により、カテコールアミン遊離を抑制しているものと考えられた(これらの結果は、第41回日本麻酔学会総会及び第47会日本薬理学会西南部会にてすでに発表し、さらに現在The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeuticsへ論文として投稿準備中である)。(2)〜(3)さらにプロタミンの細胞内情報伝達経路に及ぼす影響を調べるため、副腎髄質細胞でのCa^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase IIに対する基礎的検討を行った。(4)〜(5)その他のカテコールアミン生合成・分泌の刺激剤とし、インターロイキン-1β(IL-1β)やC型ナトリウム利尿ペプチドによる影響についても検討した。(6)最後に全身麻酔薬イソフルランのカテコールアミン分泌及び各種イオンチャンネルに対する影響を調べプロタミンの作用と比較した。 今後のプロタミンの循環動態抑制作用に対する研究として(1)プロタミンは分子量約8000-13000の塩基性蛋白複合体であることから、各種分離精製カラムで分離する事によりヘパリン拮抗作用とカテコールアミン分泌抑制作用の解離が出来ないかどうか検討する。(2)この分離したフラクションを用いて、循環動態に影響しないより選択的で安全なペパリン拮抗物質を見つけ出し臨床に役立てたいと考えている。(尚、上記(1)〜(6)は研究発表の雑誌論文に記載した順である)
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)