Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
鳥類は,脊椎動物の中で最も発達した脳から網膜への遠心性投射(以下,向網膜系)を持つ.この向網膜系に関して今年度以下のことを明らかにした. 1)向網膜核isthmo-optcic nucleus(ION)に投射する視蓋ニューロン(視蓋・IONニューロン)は網膜からの直接に投射を受ける層には殆ど樹状突起を持たず,視蓋前域、中脳被蓋、終脳視覚領等からの投射を受ける層に樹状突起を延ばす.視蓋・IONニューロンの細胞体は50-100オm間隔でほぼ均一に配列し樹状突起のオーバーラップは殆ど無い.一個の視蓋・IONニューロンは恐らく1個のIONニューロンとだけシナプスする.(Uchiyama,Yamamoto & Ito,1994) 2)IONニューロンは網膜内で大型の終末を形成し,唯一個の標的細胞(IO受容細胞)とだけシナプスする.またIO受容細胞は通常のアマクリン細胞とは異なるタイプの細胞である.(Uchiyama,Tauchi & Ito,1994;Uchiyama,Ito & Tauchi,1995) 3)IONを電気刺激すると網膜神経節細胞の光刺激に対する応答が一過性(100-500ミリ秒)に増強される.周波数分析法で調べたところ,神経節細胞のband-passfilterとしての性能を劣化させることなく、その光反応を増強する.(Uchiyama & Barlow,1994) これらの知見をもとにすると,鳥類の向網膜系は並列でしかも独立した約1万個のモジュールで構成されていると見做すことができる.一つのモジュールは,視野のある限局した部位を調節する.活動しているモジュールが順に移動していくと仮定すると,網膜の出力(神経節細胞の活動)を局所的に且つ一時的に増強し,しかも増強する部位を移動させることができる.このように,向網膜系は「注意のスッポトライト」のモデルを実現し得る神経機構と考えられる.(内山,1995)
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