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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
小児デンタルプラークより分離したレンサ球菌Streptococcus mitis 108株の菌体外産物中のスーパー抗原性を示すF-2画分を部分精製した.即ち,F-2画分は放射線照射したヒト末梢血単核細胞をアクセサリー細胞(AC)として,Vβ2およびVβ5.1のT細胞レセプター(TCR)を有するヒト末梢血T細胞を特異的に増殖させた.なお同菌株の別の菌体外産物であり,炎症性サイトカイン誘導作用を示すF-1画分,あるいは歯周病関連細菌のPrevotella intermediaのリポ多糖(LPS)やヒトインターフェロン-γ(HuIFN-γ)で前処理したヒト歯肉線維芽細胞もACとして機能し,F-2によるT細胞増殖やT細胞のインターロイキン-2(IL-2)およびIFN-γ産生を支持した.なお,このように前処理された線維芽細胞にはクラスII主要組織適合性抗原(MHC)である HLDA-DRが 発現していた.そして,F-2によるT細胞活性化作用は抗 HLA-DR 抗体によってほぼ完全に阻止された(ここまで Infect.Immun.63.印刷中).さらにF-2で活性化されたヒトT細胞はヒト歯肉上皮細胞ならびに偏平上皮癌細胞に対して細胞傷害作用を示した.この作用は抗 HLA-DR 抗体によっては部分的にしか阻害されないが,抗 Iymphocyte-function associated antigen-1(LFA-1)および 抗 intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)抗体では完全に阻害された.これらの所見は,F-2 依存性 細胞障害T細胞の作用が,クラスII抗原よりもT細胞上のLFA-1と標的細胞のICAM-1との相互作用に依存した機構によって発現していることを示唆している(以上,Immunology投稿中).今後,さらにF-2の免疫・病理作用の検討を進めるとともに,口腔常在菌叢の主要構成要素である種々の口腔レンサ球菌を供試して,類似のスーパー抗原の分離を手掛けて,歯周病を始めとする口腔粘膜疾患にスーパー抗原が係わる可能性を追求したいと考えている.
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