Research Abstract |
阪大病院放射線科で、1967年〜1988年に放射線治療された舌扁平上皮癌新鮮例921のうち、5年(10年)以上生存患者506(284)を対照とした。一次癌と同側舌に、5年以上経過後発現25、局所再発後8年経過し発現1であり、扁平上皮癌25、悪性腫瘍としか確定診断不能1であった。二次癌発現までの期間(障害持続期間:粘膜潰瘍、骨露出、白斑)は、1年未満0(2,1,1),1〜5年未満(4,7,5),5〜10年未満14(5,0,5),10〜15年未満8(0,0,2),15〜20年未満1(0,0,0),20年以上2(1,0,0),(期間不明1,1,0)であった。5年以上生存者のうち、同側の舌以外の頭頸部二次癌発生患者は17で、口腔(反対側舌4、舌顎歯肉3、臼後部2、頬粘膜2、口腔底1、うち2は多発)10,中咽頭4,舌咽頭1,喉頭2であり、全て扁平上皮癌であった。5例(口腔3,中咽頭2)は5年未満に発生している。口腔発生のうち5は、一次癌と同側舌でも発現し、5年以上経過発現(晩期局所再発か?)が3あった。二次癌発現までの期間(障害持続期間:粘膜潰瘍、骨露出、白斑)は、1年未満1(2,3,2),1〜5年未満6(3,1,4),5〜10年未満7(1,2,1),10〜15年未満1(0,0,2),15〜20年未満2(0,0,0),(期間不明1,0,0)であった。照射野内で一次癌とは連続性の無い場合、多発癌、誘発癌の鑑別は困難であるが、放射線治療後、舌側下顎歯肉、口蓋粘膜、臼後部、口腔底に白斑、粘膜潰瘍、骨壊死が長期持続する患者は二次癌発現の危険性が高く、経過観察の際に注意を要すると思われる。治療法は手術が主体であるが、断端の腫瘍残存あるいは上皮異形性が多く、広範囲の切除が要求される。以上の資料整理にパーソナル・コンピュータ(power book)が役立った。
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