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¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
皮膚刺激性は大別して紅斑と浮腫に分類されており,特に紅斑という現象は皮膚表皮下の毛細血管に対する化合物の直接的および間接的な作用によって引き起こされると考えられる.そこで受精卵の胚周辺に発生する毛細血管像をフラクタル図形として捉え,経皮吸収促進剤の注入によって惹起される血管像の幾何学的変化をフラクタル次元の変化として定量化することを試みた. 鶏胚周辺血管像をモニターマイクロスコープおよびイメージスキャナを介してコンピュータに取り込み,フラクタル解析を適用して血管像のフラクタル次元を推定した.また,血管像のフラクタル次元から最適な試料注入量,注入時期および注入前後のインキュベーション時間を推定した.さらに,経皮吸収促進剤としてリモネンとエタノールを選択し,これらの化合物によって引き起こされる血管像のフラクタル次元の変化を追跡した. 鶏胚周辺の血管は受精卵を温度38℃,相対湿度60%でインキュベーションすることにより発生し,インキュベーション時間1日程度から肉眼的に確認することができた.血管像はインキュベーション時間2〜3日できわめて複雑となり,樹状あるいは網目状の像を呈した.これらの血管像は典型的なフラクタル図形となり,大小2つのフラクタル次元を持つことが認められた.小さい次元(D1)は主に血管の幹に対応し,また大きい次元(D2)は周辺部の微小血管の複雑さに対応することが見いだされた.受精卵のインキュベーション時間1〜7日においてD1は直線的に増大したのに対しD2は2〜3日にかけて大幅な増大が見られ,それ以降4〜6日でほぼ平衡に達した.そこでリモネン2%およびエタノール40%を含有するヒドロゲルを試料とし,インキュベーション2日目に卵の鈍端部より注入し,3日目に血管像のフラクタル次元を推定した.その結果,次元D1は試料注入量によらず一定値を示したのに対し,次元D2は1〜10μlの試料注入で著しい減少を示した.感度の点で問題が残るものの,D2の減少率を指標として吸収促進剤による刺激性を定量化できることが示唆された.
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