Research Abstract |
ヒメハブ毒よりBio Gel P-100によるゲル濾過とBio Rex 70によるイオン交換クロマトグラフィーによりフィブリンを分解する酵素(線溶因子)を精製した。この因子はSDS電気泳動及びDISC電気泳動で単一のバンドを示した。SDS電気泳動からこの因子の分子量は約27,000と推定される。pH6〜9の間で、また、40℃以下で安定であった。カゼイン分解能が強く、Tosyl-Arg-ME,Boc-Val-Pro-Arg-MCA,Boc-Val-Leu-Lys-MCAに対する分解能は弱かった。1mgをラット左大腿静脈に注入後、経時的に右大腿静脈より採血し、フィブリノーゲン、プラスミノーゲンおよびFDPを測定した。フィブリノーゲン値は10分後には約35%に減少し、FDP値は100分後には75μg/mlと高値を示した。プラスミノーゲン値は100分後には投与前の約6倍の値を示した。このことより、この因子が血液凝固性疾患の治療に応用できることが示唆される。さらに、プラスミン様活性酵素の精製にも成功した。この酵素はカゼイン分解能は弱く,Tosyl-Arg-ME,Boc-Val-Pro-Arg-MCA,Boc-Val-Leu-Lys-MCAに対する分解能は強かった。線溶因子およびプラスミン様活性酵素はプラスミノーゲンの活性化作用はほとんど認められない。カゼイン分解活性に及ぼす血液中のインヒビターであるα_<1->ATによる阻害は認められなかったが,α_2-MGにより阻害を受けた。また、ヒト血漿凝集効果についても調べたところ、これらは血漿凝集の阻害ではなく、生成自身を抑制した。これはフィブリノーゲンの分解によるものと考えられる。
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