Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
糖尿病の合併症の一つである細小血管症の発生機序を明らかにするために,糖尿病マウスを用い研究した. 1.ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウスにおけるブラジキニン(BK),ヒスタミン(Hist),サブスタンスP(Sub P)の血管透過性亢進作用が,正常マウスと異なるか否かを色素漏出法により検討した.〔成績〕糖尿病マウスでのBKの反応は正常マウスと同じであったが,Hist,Sub Pの反応は糖尿病マウスで減弱した.Histの反応の減弱は,インスリン処置により正常に回復し,この反応性の変化は,インスリン欠乏によることが示唆された. 2.上記起炎物質による血管透過性亢進作用が,プロスタグランジン(PG)または一酸化窒素(NO)を介しているか否かを合成酵素阻害剤を用いて検討した.〔成績〕糖尿病マウスでも正常マウスと同様に,上記3物質による血管透過性亢進作用にPGが関与すると考えられた.正常マウスでは,BK,Sub Pの作用にNOが関与し,HistではNOは関与しなかった.糖尿病マウスでは3物質すべての作用に対し,NOの関与が示唆された. 3.上記起炎物質およびセロトニン(5-HT),PAFの皮下投与が,局所における血流量にどのように影響するかを検討した.〔成績〕正常マウスで背部皮下投与部位の血流量の変化を無麻酔下で測定した結果,PAFでは血流量の増加傾向を示し,BK,Hist,5-HTでは減少傾向を示した.しかし,この方法は再現性に乏しいため,糖尿病マウスでの血流量測定は行わなかった. 4.〔結論〕糖尿病動物での,皮膚血管透過性は5-HTで増強,Hist,Sub Pで減弱,BKでは不変となることが明らかとなった.起炎物質の種類により血管透過性に違いが生じたこれらの結果から細小血管症発生の成因を説明することは難しい.更にVEGFなど他の炎症メディエーターについての研究が必要であろう.
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