Project/Area Number |
06672283
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 孝治 京都薬科大学, 薬学部・応用薬理学, 助教授 (00150798)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 胃粘膜 / 傷害発生 / 酸分泌抑制 / 適応性反応 / 内因性一酸化窒素 |
Research Abstract |
高張食塩水(1MNaCl)を胃内に10分間適用することにより作製された傷害胃の酸分泌変化に着目し、その調節機序における内因性一酸化窒素(NO)の役割について検討し、以下の成績を得た。 1.1MNaClを10分間胃粘膜に適用することにより、粘膜電位差(PD)の減少と共に著明な胃内pHの上昇が観察された。このpH上昇は主として酸分泌の減少に起因するものであり、同様な現象はヒスタミン刺激下においても観察された。 2.1MNaCl適用前にNO合成阻害薬であるN^G-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)を静脈内に投与することにより、NaCl歴用後に認められる酸分泌の現象が有意に抑制された。しかし、L-NAME処置はNaCl適用によるPD低下に対しては全く影響を与えなかった。 3.2)で観察されたL-NAMEによる酸分泌減少の抑制作用はL-arginineの併用投与によって有意に拮抗されたが、D-arginineの併用投与では影響されなかった。また、外因性NO供与体であるニトロプルシッドはL-NAMEの存在下においても有意な酸分泌抑制作用を示した。 4.一方、NaClの胃粘膜への適用は酸分泌減少以外に、若干の重炭酸イオンの管腔内への流出を促すが、このような重炭酸イオンの流出に対してL-NAMEは有意な影響を与えなかった。 5.傷害胃での酸分泌と異なり、正常胃粘膜の酸分泌はL-NAMEの投与により何ら変化を受けなかった。しかし、ニトロプルシッドは正常胃粘膜での酸分泌に対しても有意な抑制作用を示した。 6.上述したL-NAMEの作用は、inducible typeのNO合成酵素阻害薬であるアミノグアニジンによっては再現出来なかった。 7.胆汁酸(20mMタウロコレート)を傷害誘起薬として使用した場合にも、NaClの場合と同様にPDの減少、胃内pHの上昇、ならびに酸分泌の減少が認められた。L-NAMEの前処置は胆汁酸による酸分泌の減少を抑制し、この場合、酸分泌はむしろ基礎前値よりも有意に増大した。 以上の結果より、1)胃粘膜に傷害が発生した場合、適応性反応の一つとして胃酸分泌の著明な減少が生じる、2)この減少は少なくとも一部、傷害発生に伴い遊離される内因性NOによって仲介されている、3)この場合のNOはconstitutivetypeのNO合成酵素に依存するものであることが判明した。さらに、胆汁酸を用いた実験より、傷害胃粘膜においては恐らく酸分泌の抑制系の賦活に加えて、促進系の活性化も同時に生じており、通常はNOなどを介した抑制系の影響が大きいために、酸分泌の減少として現れることが推察される。
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