Research Abstract |
言語を語順規則からみたとき,「側置詞と名詞」の順序が分類に関わる重要な指標であることが従来から指摘されてきたが(Greenberg,1966,Hawkins,1983),そこでは側置詞をもたない言語は無関係とされた.前年度の分析から,側置詞をもたない言語を日本語などの後置詞をもつ言語と統合して考えることによって寧ろ自然な分類づけが可能であることを指摘した. 今年度は,19項目にわたる語順表のデータ130言語(角田,1991)を,日本語と同順序の語順をもつか,或いは対立する語順をもつか,に着目してデータを見直し,単純化することによって次に続く重要な指標が「数詞と名詞」の順序であることを導いた.この2つの指標によって4グループ分割をおこなうのが,それぞれのグループの相違を最も有効に表現するものである.これらは,階層クラスタ分析,主成分分析,分割表データにおける変数選択の方法(坂元,1985)を用いて分析した.すなわち,階層クラスタ分析によってほぼ120言語を便宜的に7グループに分割して分割表の目的変数とし,主成分分析によって説明変数の候補となる項目を選び出し,そして,それらの関係を示す分割表を作成しあらゆる変数の組み合わせからグループを最も特徴づける分割表をAICの値を比較によって選択した結果である.
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