この合成音声の品質評価システムは、1)単音節明瞭度の測定を基礎にして、これから単語・文の了解度を推定することと、2)標準音声サンプルを利用して試聴条件を規定することによって、このための単音節明瞭度の測定に充分な精度を確保することを基本方針としている。これらについて、本年度は、以下のような実験結果を得た。 A.標準音声サンプルの選択: まず、標準音声サンプルとして、外来語の音声も含めた日本語の単音節について、使用目的に応じて選択できるような多様な音節表を作成した。次に、声質の分類について実用的な尺度を検討したうえで、標準となる自然音声の発話、および、種々な声質を持った合成音声の例を、すでに準備していた合成音声のデータベースから、詳細な音響分析と聴取実験にもとづいて選らび出した。 B.品質評価システムの設計: Aの標準音声サンプルを利用して、種々な試聴条件を厳密に規定することによって、単音節明瞭度の測定精度を確保するための最適な試聴方法を検討した。そして、品質評価に、単音節明瞭度の測定を基本として単語・文の了解度を推定する方法をとる場合の、実際的な手順を作成し、それが妥当なものであることを、試用実験の結果から確かめた。
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