ニホンザルの抗体産生能を指標にした花粉症の急増に及ぼす環境影響の評価
Project/Area Number |
06680505
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
環境影響評価(含放射線生物学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 俊二 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (90093343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
峰沢 満 北海道農業試験場, 室長 (30115943)
中村 伸 京都大学, 霊長類研究所, 助手 (10101255)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | IgE産生 / 花粉症 / アレルギー / 寄生虫感染 / インターロイキン4 / ニホンザル |
Research Abstract |
アレルギーはIgE抗体の産生異常に基ずく免疫疾患で,近年その患者数は急増している。特に、スギ花粉抗原が原因となるスギ花粉アレルギー(花粉症)は全人口の約10%が罹患し、今後も増加することが予測されている。花粉症増加要因として、スギ花粉飛散量の増加、自動車排気成分の増大、あるいは日本人の生活環境や食生活の変化等があげられているが、いずれも海外に類を見ない程の短期間での花粉症の急増現象を説明するには不十分な要因論である。 我々は,国内各地のニホンザル群にヒト同様の花粉症が見られることに着目し,ニホンザルにおける花粉症の発症状態やスギ特異的IgEの抗体産生を指標に,スギ花粉症に関わる要因とその影響を検討しつつ,近年の花粉症急増要因の究明を試みた。ヒトでは過去10年間でスギ特異的IgE抗体保有率は,8%から35%と4倍強に増大していた。一方サルでは,この間のスギ特異的IgE抗体陽性率の増加は全く認められず,10年前も現在も同レベルの8-12%の抗体保有率であった。 アレルギー・花粉症の直接原因は、体内で特異抗原に対するIgE抗体が産生されることにあるが、このIgE産生応答は寄生虫に対する感染防御反応として不可欠で、高等哺乳動物において寄生虫感染との関連で獲得された免疫応答系である。この点に着目してヒトとニホンザルにおける寄生虫感染の経年変化を調べると、ヒトでは数十年の間に70%から約20%に激減していることが明らかになった。一方、ニホンザルでは過去30年間寄生虫感染率は全く変わらず80〜90%の高感染状態が維持されていた。 寄生虫感染による抗原特異的IgE抗体の産生応答が、どのようなメカニズムで制御されているかについては今後に残された課題であるが、本研究を通じて寄生虫感染の低下が花粉症の増大に直接関わることが明らかにされた。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)