Project/Area Number |
06680626
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional biochemistry
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山登 一郎 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (70111458)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | チャンネルタンパク質 / ポリン / 分子動力学シミュレーション / 自由エネルギー摂動計算 |
Research Abstract |
Rosenbusch教授らが結晶構造解析に成功した大腸菌外膜ポリンは、低分子量物質の拡散孔であると同時に膜電位依存のイオンチャンネル活性を示し、チャンネルタンパク質の格好のモデル系と考えられる。本研究では、イオン透過の様子やイオン選択性の原理について情報を得るため、本ポリン中のイオン透過過程の分子動力学シミュレーションと、アミノ酸変異の効果について自由エネルギー摂動計算による予測を行った。本研究は、ほぼ計画通りに遂行できたが、その一部、当初予定の分子生物学・生化学的研究は未完成のままである。 計算機シミュレーションによる研究:X線結晶構造解析より得られたポリンの座標を初期構造として、膜電位存在下の分子動力学シミュレーションを行った。イオン透過過程に重要な役割を果たすチャンネル部分を構成するアミノ酸やイオン・水の動的挙動の情報を得た。特に荷電アミノ酸とイオンとの直接のイオン結合や水を介した水和のネットワークが観察された。これは本シミュレーションにより初めて明らかになった情報である。さらに、その結合構造を基に、アミノ酸変異の効果を調べ、実験で得られているイオン透過活性の変化を説明しうる結合の自由エネルギー変化を予測できた。これらの結果より、イオン透過過程におけるこれらアミノ酸の役割がイオンとの結合の安定性に依っていること、及びイオン選択性を予測できる可能性が示されたと考える。 分子生物学・生化学的研究:ポリンを含む膜タンパク質の再構成リポソームを用いた電気生理学的実験系を確立した。現在は、これまでに得られているチャンネル活性の追試に成功した段階である。今後この系を用いて、シミュレーションにより得られた各種変異の効果の予測を、実験的に確認していく予定である。
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