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¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
高等真核生物における共有結合型フラビンの形成メカニズムを解明するため,ラットのグロノラクトン酸化酵素(GLO)のアポタンパク質をバキュロウイルスを用いて作るための細胞培養系の確立を試みた。まず,ラットGLOのcDNAをカイコ多核体病ウイルスへ組み込んで組換え体ウイルスを作製し,これをカイコ培養細胞BMN4へ感染させてGLOを発現させた。発現の確認は酵素活性の測定とウエスタンブロット法で行った。GLOを発現した細胞の抽出液は,ラット肝臓のミクロゾーム画分と同程度の比活性を示し、GLOの高レベルの発現を実現できた。また,FADが酵素タンパク質に共有結合していることを,SDS-ゲル電気泳動後にフラビンの蛍光を発するバンドを検出することによって証明した。次に,リボフラビン欠乏条件下で組換え体ウイルスを細胞に感染させると,発現されたGLOタンパク質の大部分がアポ型であることを,細胞抽出液へのFADの添加によって酵素活性が著明に増加することにより確認した。FADの添加によって得られた活性は,通常の培養条件で発現したGLOと等しかった。しかし,FADのアポタンパク質への共有結合は起きていなかったので,活性発現には共有結合は必要でないことが分かった。さらに,FADが結合すると予想されるヒスチジン残基を部位特異的突然変異によってセリン,システインないしチロシンに変えた変異型GLOをバキュロウイルスを用いて発現させると,細胞抽出液のGLO活性は正常のGLOを発現させたものに比べ低いが,これにFADを添加すると活性が回復した。この事実から,アミノ酸の置換によって共有結合が起きないために変異型GLOはアポタンパ質として生成されるものと考えられる。
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