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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
我々は核より抽出した可溶性の核タンパク質から核骨格様の不溶性構造(NES)をin vitroで再構成する条件を見出している.本研究ではNESの形成機構と生物活性の解析を進め,核骨格付着領域(SAR)をもつ鋳型DNAとNESを含むin vitro転写系について予備的検討を行った. RNase阻害剤存在下に調製した核抽出液はNES形成条件(42℃,20min)を与えてもNESを作らないことから,NES構成タンパク質の核からの遊離には内在性のRNaseが関与していることが明らかになった.また,核抽出液をショ糖密度勾配遠心により分画すると,SP120(SAR結合タンパク質)は約40SのhnRNP複合体と挙動を共にした.これらの結果はSP120がヒトのhnRNPタンパク質Uと相同である事実と矛盾しない.温度処理(42℃)を行うとすべてのhnRNP複合体は他の数種のタンパク質と共に疑集し,ペレット画分(NES)に移行した.ATPを加えるとNESの形成が著しく促進され,より生理的な条件下(37℃,20min)でNES形成が完了した.ATPはCTPでは代用されず,SP120と125kDのNESタンパク質が核抽出液中のキナーゼで高度にリン酸化されることから,これらのタンパク質のリン酸化がNESの形成に関与する可能性が示唆された.NESは超らせんDNAを特異的に結合し,SAR結合活性やトポイソメラーゼ活性を含め,核骨格標品がもつ生物活性の多くを共有することが確認された.以上の結果より,NESはいわゆるhnRNP複合体を含む内部核マトリックスの再構成系と見なすことができる. in vitro転写反応に用いる鋳型DNAは転写産物の同定を容易にするため,アデノウイルスMLプロモーターの下流にG-freeカセットをもつプラスミド〔pML(C_2AT)_<19>〕を原型とし,この転写単位の上流または下流にリゾチーム,Igκ,fushitarazu遺伝子由来のSARを挿入したものそれぞれ構築した.核抽出液は試行錯誤の結果,Gorskiらの方法でラット肝より調製したものを用いた.通常の転写反応において,SARを挿入した鋳型はすべてpML(C_2AT)_<19>より有意に高い転写効率を示すことが判明した.現在,NESに結合した鋳型による転写反応を解析中であるが,まだ十分な結果は得られていない.
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