活性酸素より促進されるEGFレセプターのリン酸化の機構とその意義
Project/Area Number |
06680695
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Cell biology
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
蒲生 忍 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90122308)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 信義 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
|
Project Period (FY) |
1994
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | 活性酸素 / 上皮増殖因子 / レセプター / リン酸化 / MAPキナーゼ / 紫外線 / 過酸化水素 |
Research Abstract |
我々は、多重芳香キノン環を持つ植物色素カルホスチンCが扁平上皮癌細胞株NAや肺腺癌細胞株A549のEGFレセプターのSer/Thrリン酸化とインターナリゼーションを可視光依存的に促進することを見出した。EGFレセプターのリン酸化部位のホスホペプチドマップ法のよる解析から、MAPキナーゼの活性化が示唆された。そこで、カルホスチンC/可視光処理後、MAPキナーゼを免疫沈殿法で解析したところ、Tyrリン酸化が処理後5分で観察された。従って、MAPキナーゼがリン酸化により活性化され、MAPキナーゼによりEGFレセプターがリン酸化されインターナリゼーションの促進に至ると示唆された。カルホスチンCと側鎖の構造が異なる類似体カルホスチンDでもMAPキナーゼリン酸化、EGFレセプターリン酸化が見られたので、一連の応答は両物質に共通の構造、多重芳香キノン環が可視光依存的に活性酸素(一重項酸素)を発生させることに起因すると考えられた。MAPキナーゼのTyrリン酸化が、カルホスチンによるMAPキナーゼの直接の活性化か、あるいはMAPキナーゼをリン酸化する酵素の活性化かについて検討中である。 さらに、各種の活性酸素によるEGFレセプターリン酸化の促進について検討した。一重項酸素及びスーパーオキシドを発生させる紫外線(短波長254nm)照射では、EGFレセプターのSer/Thrのリン酸化の促進と、鉄キレート剤ジピリジルによる抑制、MAPキナーゼのTyrリン酸化が観察された。一方、過酸化水素処理では、EGFレセプターの少なくとも4残基のTyrリン酸化の促進と塩化マンガンによる抑制が観察されたが、MAPキナーゼのリン酸化は見られなかった。レセプターTyrリン酸化はEGFの結合に伴うTyrリン酸化よりも顕著で、レセプターキナーゼ自身による自己リン酸化か、またレセプターと会合するTyrキナーゼによるかを検討中である。 これらの結果から、活性酸素が未同定の蛋白キナーゼを含め増殖因子レセプターを介する細胞内シグナル伝達系の因子を細胞内標的とすると考えられた。さらに、発生する活性酸素の分子種や発生の細胞内局在の差異により異なる細胞応答を誘導することを示唆している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)