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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
アストログリア細胞は神経細胞を単にサポートしているだけではなく,神経細胞を反対に制御している可能性をも含めて独自の機能を持つと考えられる様になった。アストログリア細胞の機能やグルタミン酸をめぐる中枢機能制御について裏面に示す種々の研究成果を得た。クロライドイオン(C1^-)の調節については未だ研究が完結していないが以下の知見があるので報告する。 C1_-イオン濃度測定に蛍光色素MEQを用いた。励起波長はfura2とほぼ同じで,その蛍光は50mM C1_-により50%消光される。この感受性は細胞内濃度測定に適しており,また細胞内に取り込まれた色素の漏れ出しが少ない長所をもつ。その膜透過性誘導体であるdiH-MEQは非常に不安定で市販されていないため,自家合成した。MEQ-iodide(Molecular Probe)を窒素気中でNaBH_4で還元し,還元物を酢酸エチルで抽出し,anhydrous NaSO_4で乾燥させ,その後窒素気流にて乾固させ冷凍保存した。合成後4日以内に使用した。合成したdiHMEQを計算上0.1-0.2mMの濃度で15分間細胞に取り込ませ,洗浄後顕微鏡下で蛍光強度を画像解析装置で観測した。蛍光の褪色を最小限に抑えるため今回更新したフィルター切替装置により励起時間を短くした。これらの実験設定で種々の測定を繰り返し,以下の問題点があることがわかった。 (1)蛍光強度がかなり弱く,内在性のNAD(P)Hの蛍光の変化をも計測してしまう。その為細胞内代謝状態が大幅に変化する,例えば虚血条件負荷のような刺激を加えた場合,蛍光色素なしでの測定を常にできるだけ等しい条件下で行わねばならない。また新しい蛍光色素の開発や細胞内負荷方法の改良も考慮する必要がある。 (2)新しいフィルター切替装置を用いても蛍光褪色はかなり大きく,その為に刺激なしでの自然褪色の時間経過をある期間し,それをもって補正する必要がある。これはtributhyltin+valinomycinによる細胞内C1^-濃度と蛍光強度の標準曲線を求める際にも問題となった。 (3)測定中に用いる潅流液にCO_2/HCO_3緩衝液を用いるかどうかによってもかなり蛍光強度が変化することから,強力なHCO_3/C1^-交換輸送系が存在することを示唆される。 いくつかの克服すべき問題点が明らかとなった。一点ずつ解決する必要があるが,アイソトープの^<36>C1を用いての実験も,並行して行うことも考慮すべきである。
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