Project/Area Number |
06680794
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
松島 俊也 上智大学, 理工学部, 助手 (40190459)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | ウズラ / ヒナ(chick) / シナプス / 可塑性 / 刷り込み / テストステロン / 発声 / 神経修飾 |
Research Abstract |
平成6年度、上記研究課題について以下の成果を得た。一つはウズラ雛の大脳線条体のシナプス可塑性に関わり、また一つは同じくウズラ雛の発声中枢に関わる。両者はいずれも新生ウズラ雛の脳の機能的な「柔らかさ」を直裁に示し、高次脳機能を調べるにあたってこれが有用なモデル動物であることを示唆している。以下、その結果を順に述べる。 (1)ウズラ雛の大脳線条体シナプスの可塑性:刷り込みの感受性期 生後1日から9日までの様々な日齢の雛を材料とし、大脳線条体のスライス標本を作成して、そのニューロンにホールセル・パッチ電極を適用した。記録下のニューロンの近傍に与えた電気刺激は、単シナプス性の興奮性シナプス後電位を誘発した。さらに、5Hz x 1minの弱いテタヌス刺激を加えると、このシナプス後電位はHebb則に従って長期増強を示した。更に、このようなシナプス可塑性は生後3日までの雛においてのみ見いだされ、5-7日を越えた雛においては見いだされなかった。これは、刷り込み学習の感受性期と対応した現象であると考えられ、学習のシナプス仮説に有力な傍証を与えるものである。これらの結果は、本年度、第65回日本動物学会大会と第18回日本神経科学大会にて各々発表した。また、予備的な結果をNeuroscience Letters誌に投稿し既に受理された。 (2)ウズラ雛の中脳発声中枢に対するテストステロンの可逆的作用:発声機構の個体発生 オス成鳥は特徴的な雄たけび(crowing)を発する。他方、雛鳥にテストステロンを慢性投与すると、数日のうちにこのcrowingを人為的に引き起こすことができる。この機構について、以下3つの実験を行なった。 A.中脳被蓋の丘間核背内側部を局所的に電気凝固すると雛本来のコールと共にcrowingも同じく失われ、この部位が発声に必須であることが示された。(中脳発声野の同定) B.この部位にテストステロンを微量に含みパラフィンペレットを植え込むと、最小1時間後にcrowingが現れた。この部位はテストステロンの標的であることが結論された。(標的器官の同定) C.さらに最初期遺伝子(c-fos)の発現を免疫組織学的に調べたところ、社会的隔離を施して高頻度のコールの発声を見た個体でのみ、中脳発声野に陽性細胞を認めた。その発現パターンはテストステロン投与の有無に関わらず(すなわちcrowingを発していようと雛のコールであろうと)、同じであった。同じ神経核が、テストステロンの作用によって全く異なるコールを生成するよう修飾されたことを示している。(修飾作用の証明) これらの結果は上記の学会(動物学会と神経科学会)に発表したほか、現在2通の論文を執筆中である。
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