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¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Research Abstract |
本研究は部分肝切除後の残存肝の再生の過渡的状態から肝再生が終了する,定常的状態に至るまでの機能回復過程を^<31>P-MRSを用いて検討し,非侵襲的肝機能評価手段としての有用性を明らかにする目的で立案し,下記の成果を得た。 1.既存FT-NMR装置(磁場強度6.3T)を用い,サーフェイスコイルで腹壁上からラット肝臓の^<31>P-NMRスペクトルを計測する場合の腹壁を含む周辺組織が肝スペクトルに及ぼす影響を定量化し,その結果を基に65%肝切除後の残存肝からリンスペクトルを計測するための小型サーフェイスコイルを作成し,S/Nや分解能など満足できる性能をもつことを確認した。 2.生体試料から得られるピーク波形の重なったスペクトルを波形分離し,定量化するために提案した非線形最適化演算法を中心として,ピーク高さ,位置,半値幅などの初期値パラメータの推定方法を検討し,より安定した波形分離を可能とするとともに,肝スペクトルへの適用性を明らかにした。 3.まず,肝切除後1週から5週郡において,フルクトース負荷後及び門脈血流遮断解除後のATP及び無機リン(Pi)レベルを観察し,週数を経る毎に両レベルとも切除前の値に近づき,4週以降でリンエネルギー代謝状態が切除前の状態に回復することを明らかにした。次いで,肝切除直後から1週目までにおけるATPとPiレベルを検討し,ATP及びエネルギー状態の指標であるATP/Piは低値で推移することを明らかにした。 4.肝切除直後から5週目までの間でATPレベルが異なることに着目し,肝再生とリン酸化合物代謝との関連性を解明する前段階として,灌流肝臓を対象としてコレラ毒素投与後のATPとPiの変化を観察し,両者とも投与量に依存して大幅に減少し,エネルギー代謝とは異なる結果を見いだし,臓器レベルでの肝再生メカニズム解明の手がかりが期待される。
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