Project/Area Number |
06710017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
倫理学
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
神山 伸弘 跡見学園女子大学, 文学部, 講師 (60233962)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | フリース / 哲学的法論 / 平等論 / 自由論 / ヘーゲル / カント / フィヒテ |
Research Abstract |
J.フリースの倫理・政治思想の内容的特質をヘーゲルとの敵対関係という関心から明確にするため、本研究では、刊行分のフリース全集を設備し、著作の全体像を概観するとともに、中心的にはPhilosophische Rechtslehre(1803)の読解をおこなった。また、未刊行分資料の欠を補う資料調査を試みて、Bekehrt Euch!(1814)、Ueber die Gefahrdung des Wohlstandes und Charakters der Deutschen durch die Juden(1816)、An die deutschen Burschen(1817)、Rechtfertigung des Proffesor Fries gegen die Auflagen(1818)のパンフレット類、Von Deutschen Bund und Deutscher Staatsverfassung(1816)という著作の複写を得て、おもに前者のパンフレット類の読解をおこなった。その結果、『哲学的法論』の研究からは、フリースの法哲学思想が、カントの『人倫の形而上学』を基礎とし、フィヒテ的な相互承認論を媒介しながらも、自由論ではなく平等論に傾斜し、社会契約説を斥け元首と人民の相互強制論で国家を構成するものであることが明確になった。この読解の成果について本年度中公表できたのは、分量の関係で序論および緒論の翻訳のみだが、来年度以降にその続稿の発表を予定している。また、その概要と議論の特質については、著作で言及される関連事項の調査をいっそう進めた後におこないたい。他方、パンフレット類の読解によって、フリースが、ドイツ民族の自己信頼を覚醒し、名誉と正義、ドイツの共同精神が実現されるよう同胞に訴え、現実の運動に深く関与する姿が明確になった。以上から、フリースとヘーゲルとの敵対関係については、ヘーゲルの法哲学思想が、自由論を基礎とし、元首と人民の相互強制論を採用せずに精神の現実化を説く点で理論的に根底的であり、また、ヘーゲルが必ずしも民族精神の絶対化をはからない点で実践的にも深刻であることが看取できた。この成果の公表については、パンフレットの資料紹介とともに、今後の課題となる。
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