Project/Area Number |
06710058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
実験系心理学
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Research Institution | Oita Prefectual College of Arts and Culture |
Principal Investigator |
板倉 昭二 大分県立芸術文化短期大学, コミュニケーション学科, 講師 (50211735)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 心の理論 / メタ言語 / チンパンジー / 性別判断 / 共感 |
Research Abstract |
他者にもいわゆる「心」があり、さまざまな欲求や信念等を持っていることを理解することは、発達的に視点からは極めて重要なポイントである。こうしたことは、「心の理論」研究として位置づけられ、発達心理学の中でも盛んになってきている。報告者は、英国サセックス大学のMartin Dohertyを研究協力者として、3歳児、4歳児を対象に、メタ言語と心の理論の関係を実験的に分析しており、現在継続中である。このデータが収集できれば、Dohertyのイギリスで収集したデータと直接比較が可能であり、クロスカルチュラルな研究となりうる。今回のおもな報告事項は、チンパンジーによる共感と、他者認知と深く拘る顔の認識について、その実績および成果を報告する。 チンパンジーは、ヒトの身体的状況を弁別し、その状況に応じて異なる反応を示すだろうか。これが基本的な研究動機である。まず、グループケージのチンパンジーの前で、実験者が"指に怪我をした振り"をして見せる。これが実験条件である。統制条件は、通常の状態で陽気に声をかけながら、チンパンジーの前に立つ。このときのチンパンジーの行動観察をおこない、両条件に差異が見られるかどうかを検討した。その結果、実験条件の時のほうが、チンパンジーがよく集まった。さらに、水を口に含んで実験者にかけるという行動も抑制された。実験者の状況に応じて反応が変化したのである。 次に5歳児と成人を対象として、コンピューター合成写真の性別判断に関する実験的な分析をおこなった。刺激となった写真は、男女混合の中性顔、男性、女性それぞれ100%、中性顔に男性性および女性性をある割合で合成したもの、中性顔に男女のパ-ツ(目、眉、鼻、口、および輪郭)を合成したもの、計21枚であった(森崎・乾1994)。判定の結果、成人は、目及び眉を手掛かりとして答えていたが、5歳児ではそのようなことは見られなかった。また、男性性、女性性が高くなるほど、成人も5歳児も、判断が容易であった。今後も詳細な分析をおこなう予定である。
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