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¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は,生物領域と人工物領域で異なる因果的メカニズム(生成の原因)と,同一の因果的メカニズム(機能的障害の原因)に関する理解の発達を検討した。幼児(幼少・年中・年長クラス)と児童(小学校2,4,6年)を被験者にして,次の観点から実験を行った。 1.幼児であっても,不適切な推論を排除する傾向,すなわち,制約が存在するかどうか。 2.適切な推論の選択が年齢と共にどのように増加するか。 3.同一の因果的メカニズムについて,生物領域と人工物領域との間で転移が見られるかどうか。 その結果,以下のことが明らかとなった。 1.生物と人工物の部分(犬の耳と自動車のタイヤ)の生成の原因について不適切な推論を排除する傾向が見られたのは,年中の幼児期以降であった。それに対して,人工物の機能的障害(自動車の動作の停止)の原因について不適切な推論(外的原因)を排除する傾向が年少の幼児の段階から見られた。 2.生物と人工物の部分の生成の原因について,小学校2年生までに大部分の者が適切な推論(遺伝・人為)を選択するようになった。また,生物の機能的障害(犬の食欲の不振)については,適切な推論(内的原因)を選択する者の比率が幼児期から4年生にかけて増加したのに対して,人工物の機能的障害の原因については,幼児期に適切な推論(内的原因)を選択する者が増加した。 3.幼児に人工物(自動車)の機能的障害の原因に関する説明を与えても,自然物の機能的障害の原因についての推論は影響を受けなかった(適切な推論を選択した者の比率は増加しなかった)。
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