Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,平成5年度科学研究費の課題研究(課題番号05710087)の知見を踏まえて,幼児期の子ども(3,4,5歳児)が,自分の行為を自発的に対象化できるためには他者とのいかなる介入形態が必要とされるのか,その相互交渉が持つ潜在的なメカニズムを大人と子どものペアと子ども同士のペアを設定して検討することである。実験は2つの位相から構成された。第1位相では,特に制約を与えない状況で子ども同士ペアで折り紙を折らせた。第2位相では,そこでの構成行為のつまずきの原因を幾つかのパターンに分類し,各エラーパターンに対応する実験者からの介入を構成した。特に,子どもがつまずきの原因を曖昧にしか特定できない介入とかなり具体的に特定化できる介入とを区別するために,構成行為を展開するためのフレームを設定した。第2位相の最後に,それまでの構成行為のプロセスを子どもがどの程度対象化することができたかを確認した。その結果,(1)子ども同士の構成過程の分析から,折り紙図式に要求されている個々の操作を言葉で定義することそのものは,同一の課題を何度も繰り返した後に可能であり,言葉での理解よりも動作での理解が先行すること。(2)そこで定義された言葉は,その後の課題での子どもの構成行為に影響を及ぼすこと。(3)子どもと大人との構成過程の分析から,特に3,4歳児にとっては,つまずきの原因が多層からなるために1つの操作を獲得するまでにはフレームを設定された中での具体的な介入が繰り返し必要とされること。(4)折り紙図式を見ながら1人で折れるようになった後でも,そこで学んだ個々の操作がすぐに子どもの中に内在化されるわけではなく,完成図のみを見せられて必要な構成過程を再現できるためには表象能力の発達が関与すること,などが示唆された。本研究結果をまとめた論文は,学会誌(教育心理学研究or発達心理学研究)に投稿する予定である。
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