Project/Area Number |
06710098
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
矢守 克也 奈良大学, 社会学部, 助教授 (80231679)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 自然災害 / 防災意識 / 災害イメージ / 災害観 / 会話分析 / 内容分析 |
Research Abstract |
1982年7月の「長崎大水害」を事例として、自然災害後の被災者の防災意識・災害イメージの長期変動を会話分析、及び、新聞報道等のテキスト分析の手法を用いて検討した。その結果、これまで、「防災意識の風化」として一括されていた事態の中に、実はいくつかの種類が存在していることが見いだされた。すなわち、「風化」とは、皮相的には、災害について語られなくなることであるが、実際には、「災害イメージ」が色あせ、消失していったという側面ばかりではない。むしろ、それが(災害についての会話を営む)人々の間の暗黙・自明の共通理解として、日常的には潜在化してしまったことをも意味する。そして、潜在化した災害イメージは意識されないが故にかえって、人々の災害に対する見解、行為を強力に規定する。 本研究では、こうした知見が会話分析とテキスト分析を通して得られた。具体的には、長崎大水害に関する人々のフリー・ト-クを、(1)実際に被災した自治会の役員会、(2)市役所の防災担当職員の座談会、(3)被災直後、文化財保護をめぐって活発な運動を展開した市民団体の代表者らの座談会、(4)直接的体験のない学生の雑談、において収集し、その内容を分析した。この中から、サンプル(1)や(3)では、被害に対する会話が、指示語、具象名詞を多用した「知覚現場的様態」を示すのに対して、(2)や(4)では「概念思考的様態」を示すことを見いだした。さらに、この区別が、彼らの被害に対する暗黙自明の前提の違いの反映であること、各集団の(狭義の)防災意識の違いを生んでいることを指摘した。 なお、研究期間の後半に、研究代表者が居住する地域が阪神大震災に襲われた。上記の研究成果を阪神大震災にも適用するべく、若干の資料収集・分析も試みた。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)