Project/Area Number |
06710162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Fuji Women's University |
Principal Investigator |
大矢 一人 藤女子大学, 一般教育, 講師 (10213878)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | PTA / ネルソン / コロン / 地方軍政部 |
Research Abstract |
1、史料の調査・収集〜占領期のPTA成立史に関する日米双方の史料を以下の機関で調査・収集した。そのうち、米側の史料はマイクロフィルムに収められているので、藤女子大学図書館でプリントアウトし、その他の史料は必要部分を複写した。山口県立文書館の史料は研究者自身でマイクロ撮影を行った。 国立国会図書館憲政史料室・国立教育研究所・北海道立図書館・山口県図書館・山口県立文書館・山口県教育研修所・岩国市立図書館・京都府立総合資料館・大阪府立中之島図書館・大阪市立常磐小学校 2、史料の整理・分析〜収集した史料を整理し、下記の点から分析した。 (1)PTAに関するCI&E担当官(ネルソンとコロン)の認識および啓蒙内容と日本側の受けとめ方 (2)地方軍政部のPTA設置奨励施策 (3)各地域における(北海道・大阪・京都・山口)におけるPTAの実態 3、史料分析より得られた知見 (1)1946年に来日し、CI&E教育課社会教育担当官となったネルソンが導入しようとしたPTAはアメリカの原初的なそれ、すなわち「学校に対して財政援助ではなく、他の様々な支援をする」というものであり、特に組織の民主性に重点をあてた施策を啓蒙した。それに対して1948年に来日しCI&E教育課社会教育顧問となったコロンは、1920年代に「親の教育権」と「教師のもつ専門性」が対立した経験をふまえた、「学校の教育内容には関与しない」というPTAを啓蒙した。双方ともにPTAの教育活動に対して消極的な見解「〜ではない」しか日本側に提示できず、日本側はPTAの活動内容を十分理解出来なかった。 (2)地方軍政部はその上級機関である第八軍の「プライオリティ・リスト」に一貫して掲げられた「PTAの設置奨励」を忠実に行った。例えば北海道ではその他にはほとんど出されなかった文書での指示をしたし、京都府ではPTAの「認定証」さえ発行した。しかしその内容は、ネルソンの思考した組織の民主性を中心にしたものであり、コロンの施策はPTAが何をすればよいかをいっそう分かりにくくさせた。 (3)軍政部の徹底した啓蒙の末、PTAは全国的に設置され、1950年には組織率85%を越えた。しかし、「BTA」などの名称にみられるように、ネルソンの思考した組織の民主性さえも確立せず、PTAの活動内容についてはほとんどかえりみられることはなかった。 4、今後の課題〜より地域の実態に即した資料を入手し、それも含めてより詳細な分析を行いたい。
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