Project/Area Number |
06710172
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Otani University Junior College |
Principal Investigator |
関口 敏美 大谷大学短期大学部, 専任講師 (60241212)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 柳田國男 / 女性生活史 / 女性のための主体形成論 / 読み物を通じた自己教育 / 女性向け読み物 / 社会認識 / 民俗学 / 生涯学習 |
Research Abstract |
本研究では、実施計画として、(1)柳田が執筆した女性向け読み物の内容的な分析を行ない、(2)柳田の提案した「女性生活史」という学問が、女性のための主体形成の手段として機能した可能性を検討すると共に、(3)柳田の主張がどのような社会的背景の下でなされたものであるかを考察すること、を課題としていた。 まず(1)に関しては、女性向け読み物(単行本)が、どのような論稿から構成されているかを、初出雑誌・発表年・テーマに関して分析したところ、『婦女新聞』に連載した『女性と民間伝承』(1932)を除いて、当初から、女性を読者に想定した論稿は少なく(約16%)、大半は、読者が女性に特定されない(むしろ女性読者は多くないと考えられる)雑誌に発表されたものであった。テーマとしては、衣食住に関する生活史・信仰生活と女性・生産活動と女性等、女性が現在の生活や現在までの女性の地位・境遇を知る上で不可欠な、重要テーマが選ばれている。特に衣食住に関するテーマは、「女性と歴史」(1934)前後に執筆されたものが多く、女性に学問を呼びかけたことが民俗学の展開に対してどのような意味を持つのかを考察する必要がある。 (2)に関しては、(1)の結果から、女性向け読み物は、歴史的な自己認識を通して主体形成を行う際に、テキストの役割をはたしていたと考えられる。ただ、柳田の学問観が、どの程度まで読者に理解されていたかを結論づけることは、現段階では困難である。さらに、日本民俗学講座婦人座談会等の活動と、女性向け読み物との接点を探究していく必要がある。 (3)に関しては、代表的な婦人雑誌の目次や特集記事から、女性へのはたらきかけの特徴を抽出するために、資料の収集に努めたが、分析作業は、今後の課題として残った。また、女性ジャーナリズムが、女性に向けて発した「修養」と、柳田が「女性生活史」によって実現しようとした「学問」の比較を通して、柳田の主張した「女性生活史」の意義を考察する必要がある。
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