Project/Area Number |
06710187
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Shibusawa Foundation for Ethnological Studies |
Principal Investigator |
上杉 妙子 財団法人民族学振興会, 研究員 (90260116)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1994: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 観光開発 / 家族 / 墓制 / リゾート地の社会組織 |
Research Abstract |
本年度のデータ収集・整理によって以下の知見を加えることができた。 対象社会は関東・近畿・信越の各地より移住した人々によって構成され、しかも住民は観光業において互いに競合する関係にある。したがって対象社会は対立・分裂しやすい要因を備えているといえる。しかし、一方で、成熟した地域社会を形成し共通の利益を追及しよう、という動きも様々な局面で見られた。 まずその動きの要となるのが行政との関係の強化である。ただし、このリゾート地は行政上は二つの市町にまたがっているのであり、そのことが住民の帰属意識や行政への働きかけを分裂させる要因となっている。 第二には、共同事業の企画である。この地域の観光事業のほとんど全てが町有地に立地する関係上、銀行などの融資を受ける上で不利な立場にあり、従来の個人経営では大規模な設備投資を行うことが困難である。共同事業はこのような限界を打破し地域全体としての集客力を高めようとするものである。それはまた、世帯主が共同事業に従事し、他の家族が従来通りに家業に従事するなど、新たな家庭内分業体制を生み出しつつある。 第三には住民の帰属意識を強めるための文化的装置の創出であり、祭礼の開始、共同墓地・神社の新設があげられる。これらの文化的装置は、隣接する既存の地域社会のそれを単に模倣するにとどまらず、序列的関係が未成熟であるというこの地域の特性をよく表すものとなっている。 以上の知見を学術雑誌などで公表するために、今後補足データをさらに収集したいと考えている。
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