Research Abstract |
検討資料としては、遺物面では,十三湊遺跡での発掘資料の他,珠洲窯大畠窯発掘調査の編年的成果を用い,石川考古学研究会が実施した石川県普正寺遺跡での発掘資料,新潟県上越市教育委員会が実施した直江津港湾遺跡での発掘資料,十三湊消滅以降この地域での中心地的機能を果たしたと想定される北海道上ノ国勝山館での発掘資料などを具体的に分析した。さらに,参考資料として,草土千軒町遺跡,博多,滋賀県妙楽寺遺跡を検討した。ある程度予想されることは,14世紀代の輸入陶磁器の卓越,15世紀代のその減少とそれに伴う国産陶器の和様化,16世紀代の輸入陶磁器の復活と国産陶器の中国陶磁模倣という現象である。 遺構面では,先述した十三湊遺跡,普正寺遺跡、直江津港湾遺跡,上ノ国勝山館を検討した。方法としては,遺構の変遷図を作成して画期を考察する他,十三湊遺跡など中世から開発を受けていない遺跡では,明治時代の地籍図が遺跡の空間構造を考察する上で有効な資料となる。結果としては,14世紀末頃の港湾都市遺跡構造の全国的な再編の契機,15世紀末頃の港湾都市遺跡の淘汰,などが予想される。
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