Project/Area Number |
06710236
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
考古学(含先史学)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小杉 康 明治大学, 文学部, 助手 (10211898)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 動物造形品 / 猪形土製品 / 動物形中空土製品 / 石製・土製タブレット / 動物骨 / 宗教システム / 縄文後期 / 縄文晩期 |
Research Abstract |
本研究では動物造形品を動物骨という性格の全く異なった2種類の考古資料を分析対象としている。両者に共通する要素は<動物>である。縄文時代にあっては生業活動の対象である動物を媒介として、超自然界といかにして接触していたのか、即ち当該期の宗教システムの一局面の復原を研究目的とするものである。 1.動物造形品については現在発見されているものの大半を登録した。ただし画像化については膨大な時間と費用がかかるために現在進行中である。また主要な資料については型式編年を実施し、それに対応するかたちで技術論的な変化過程を復原・仮定することができた。その結果、(1)縄文後期に主流だった猪形土製品は晩期にいたっても存続はするが、新たにそれから派生した動物形中空土製品が代わって主流になり、また大形化する過程を、(2)動物形中空土製品は石製・土製タブレットと型式論的に強い関連をもつことを、明らかにできた。 2.動物骨の登録・集成・資料化はこれまでに報告された各資料の精度に大きく左右され、各地の研究状況によってややむらのあるデータになってしまった。特に数量化には大きな問題があり、今後の調査・記録方法の面で多くの改良が必要であることを痛感した。ただし、このようなデータからでも(1)動物骨の燃焼・粉砕・散布(ないしは廃棄)という一連の行為が各単位行為としては縄文前期にまで遡りうることの見通しが得られ、(2)縄文後期に文化制度として確立するこの一連の行為系はそのままの形で晩期にまで引継がれることが判明した。 3.上記の両成果を比較すると、(1)縄文後期から晩期にかけての動物骨の処理過程と猪形土製品及び動物形中空土製品の製作・処理過程との間には形式論理的な対応関係は稀薄だが、(2)前者と石製・土製タブレットとの間には一定の共通性・緊張関係が見受けられ、(3)当該期の宗教システムの一輪郭とその複雑さが具体的に予測できた。
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