Project/Area Number |
06710265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国文学
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Research Institution | College of Nagoya Bunri University |
Principal Investigator |
神谷 勝広 名古屋文理短期大学, 経営学科, 講師 (40233952)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 諺 / 仮名草子 / 浮世草子 / 浄瑠璃 / 中国故事 |
Research Abstract |
今年度は、諺の重要な基盤となる中国故事が、いかなる形で大衆に浸透していったかを検討した。今年度の研究よって得られた新たな知見は、以下の2点にまとめられる。 1、儒学の大家である林羅山の編した注釈書『徒然草野槌』収録の中国故事が、多くの文芸作品に流出し、それらがやはり金言・名句とされ諺化していく。前年度までに、都の錦・北条団水・錦文流らの浮世草子、近末門左衛門の浄瑠璃における摂取が明確にできたが、本年度、新たに西村本や仮名草子(『あだ物語』『よだれかけ』『東海道名所記』『出来斎京土産』など)でもその利用をはっきり把握できた。他の林羅山の啓蒙的な編書もまた、諺の基になる故事の供給源になりえる可能性がある。今後さらに羅山編書の果たした役割について、検討していきたい。 2、本年度の調査検討の中で、新しく気付いた点は、近世前期ばかりでなく中期においても、文芸作品を介して中国故事が諺化していることである。既に、近世前期の文芸(都の錦の浮世草子・紀海音の浄瑠璃など)が、中国故事の宝庫といえる『訓蒙故事要言』を利用していることは指摘してあった。しかし、中期の山東京伝の読本でも、『訓蒙故事要言』が利用され、諺として引用されているのである。文芸と介しての諺の浸透は、当初推測していた以上に、広範囲に行われているようである。調査対象の文芸の枠を広げつつ、調査を進行させたい。
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