Project/Area Number |
06720018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 雅弘 京都大学, 法学部, 助教授 (50240817)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 少数株主 / 投下資本回収 / 株式譲渡 / 株式買取請求権 |
Research Abstract |
少数株主の保護は、株式会社法の中心的な課題の一つであるが、多数派株主の不当な行為そのものを防止・除去することと並んで、少数株主が投下資本を回収して会社から離脱できるかどうかが、少数株主保護にとって重要な意味を持つ。少数株主が自分の望むときに(時期)、満足のいく経済的代償を得て(対価)、投下資本を回収できる十分な機会を持つかどうかである。 アメリカにおいても日本においても、投下資本回収制度を全体としてみれば、主要な方法として、株式譲渡、株式買取請求、会社の解散請求という三つの手段が会社法上用意されている。これらは有機的に関連し合っており、このうちの一つが十分に機能していれば、他の二つの手段が働くべき必要性は減少するといってよいが、三つがそれぞれともに十分に働かないのであれば、三つが相互に補完しあい、全体として十分な投下資本回収手段となっていなければならない。 三つの手段のうち、株式譲渡が投下資本回収方法の中核をなすが、株式に市場性のない閉鎖会社においては事実上利用できない。また会社の解散請求は、会社を消滅させる最後的・例外的手段である。株式買取請求権制度が、とりわけ株式に市場性のない閉鎖的な会社において、株主間の利害調整手段として重要である。アメリカでは、同制度についてその存在自体を疑問視する見解をはじめ、種々の批判があるが、その欠陥を是正する立法論上・解釈論上の努力がなされてきた。アメリカ法を導入したわが国の株式買取請求権制度も、いろいろな問題を抱え、批判も多い。買取請求権を認めるべき場合を再検討するとともに、手続上の改善が必要であろう。母法アメリカにおける議論は、わが国における株式買取請求権のあり方を考える上で、きわめて有益である。
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