Project/Area Number |
06720021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 顯治 九州大学, 法学部, 助教授 (50222378)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 契約 / 再交渉 / 手続 / 調整 |
Research Abstract |
本年度は5月より1994年度日本学術振興会特定国派遣研究者として渡独費用を交付され、約1ヶ月半にわたり、ドイツブレーメン大学にて、現代ドイツにおける契約交渉の実態調査、および理論研究に従事することが出来た。特にブレーメン大学Christian Joerges教授および、同大学助手、兼弁護士であるKlaus Meyer氏の協力を得て、実務、判例、学説の新たな動向に接し得た。この結果として、ドイツにおいても、「契約交渉プロセスの促進」という観点に着目した研究が進みつつあり、また「契約交渉プロセスの促進」という観点から興味深い多数の判例が、近時登場していることが明らかになった。この結果、少なくとも、近時のドイツ法の実務・理論においては、旧来のように契約規範を単なる「契約責任規範」として捉えるという考え方は若手の研究者を中心に、既に一新されつつあることが実感できたことは大きな収穫であった。従来私は主に理論的な観点に重点を置いて、「契約交渉プロセスの促進」のための規範(「交渉促進規範」)として契約規範の新たな機能を捉えなおすべきことを主張してきたが、かかる観点が単に理論上のみならず、実務上もドイツにおいては既に実践されているということを確認できた。また、貴科学研究費を活用し、多くの実務的・理論的資料を収集することができ、これらの成果は現在論文の形で執筆中であり、早急に公表する予定である。また、契約交渉の動態を考慮しつつ、一定の効果を導こうとする考え方はわが国において判例上取り上げられつつある。例えば、東京地裁判決、判タ854号231頁においては、賃貸借契約期間満了時に敷金を預託する旨の約定に違反する賃借人の債務不履行を理由に契約解除がなされた場合において、交渉過程の動態を考慮して、背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして解除の効力が認められなかったものであるが、ここでは判例コメントにおいて私見が取り上げられているのである。
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