Project/Area Number |
06720031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上島 一高 神戸大学, 法学部, 助教授 (40184923)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1994: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 金融犯罪 |
Research Abstract |
さまざまな内容・形態を有する金融犯罪-詐欺・背任・横領、商法・出資法違反、あるいは各金融機関の準拠法所定の規則違反等が、これまで実際にどのように解釈・適用されてきたのかを明らかにし、今日の経済情勢の激しい変化及び社会一般の当罰性意識の変化の中で、金融犯罪に対する刑事法上の規制あるべき姿を検討することが目的であった。 主たる作業として、(1)さまざまな刑罰法規に関する立法資料、また、特に実務家により執筆された文献を調査・収集する、(2)特に戦後について、各刑罰法規の解釈・適用がどのように「変化」してきたのかのを、判例を中心として、参照しうる司法当局内部の執筆資料等を基に検討し、また、統計等による検挙・訴追状況の把握により肉付ける、(3)保護法益を中心としてなされた金融犯罪の類型化及び経済社会の変化との関連において、上のような「変化」を位置づける等のことを行った。 その結果として、(イ)この分野における刑罰法規の解釈の拡大が、一般のそれに比して、行為態様の面のみならず、保護法益の面においても行われやすいこと、(ロ)刑法典以外の刑罰法規、特に、これまであまり用いられる機会の多くなかったものが、金融機関の顧客の側に現実に被害が生じた場合、刑法典の財産犯規定では捕捉の難しい行為を捕捉するという傾向、すなわち、財産犯規定を実質的に代替する傾向が近年窺えることを指摘することができる。なお、経済社会の変化と解釈の変化との関連性を有機的に説明するまでには、きわめて慎重な考察が必要であり、未だ至っていない。しかし、上の二点とも、この分野では抽象的あるいは形式的な規定が多く、現在の状況には十分対処しきれなくなっており、より具体的な法益、行為態様を念頭に置いた規定が必要であることを表すものとも言える。以上を基にして、今後は、金融犯罪の体系的把握に努める所存である。
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