カナダにおける「証拠開示」をめぐる判例立法の研究:当事者モデルの神話と実像
Project/Area Number |
06720032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Criminal law
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
指宿 信 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (70211753)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1994: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 証拠開示 / カナダ / 当事者主義 |
Research Abstract |
本年度は、カナダ証拠開示をめぐる判例立法の調査をほぼ終えることが出来た。 カナダでは、1991年、最高裁判所により、従来立法が勧告されながら実現することのなかった、検察官による公判前事前全面証拠開示が承認された。この画期的な判決は1991年11月7日、スティンクコンベ事件において示されている。 本年度は、同事件判決に至るまでの、カナダ刑事手続における証拠開示問題の沿革を調査分析し、同事件判決に検討を加え、さらに同事件の問題点を総合的に考察した。また、同事件判決以後の今日に至るまでの下級審における事例判例を収集し、その分析をおこなった。 これらの作業の結果、カナダでは法律上の根拠のないまま、無辜の不処罰という刑事手続の最大の目標から帰結された理由と、不意打ちの防止といった実際的観点を理由にして証拠の事前全面開示が実現したことが理解された。また、かかる事前開示について、不開示の裁量を承認しつつ、その司法審査という実践的、実際的な開示手続を創設し、以後の下級審でかかる手続が現実に機能していることが理解された。 これらの研究成果は、現在わが国で閉塞状況にある証拠開示実務に大きな示唆を与えるものと思われ、カナダの実際的な開示手続の判例による創造は、おなじように立法の展望の乏しいわが国にたいへん貴重な比較法的資料となると思われた。 以上の研究成果は、本年度中にまとめることができ、わが国の法律学界で最も評価の高い実務雑誌である『ジュリスト』誌に掲載を認められた。
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Report
(1 results)
Research Products
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