Project/Area Number |
06720040
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田邊 國昭 東京大学, 法学部, 助教授 (40171813)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 社会保障 / 社会階層 / 所得再分配 / 自民党 |
Research Abstract |
戦後日本の社会保障政策は、所得をその基準として、一般の所得者層、低所得者層、貧困層の3つの階層に区分し、それぞれの階層に社会保険、社会福祉、生活扶助という施策を対応させる、3層モデルとでもいうべき社会階層認識をその基底においていた。この階層認識に基づき、社会保障体系内での諸政策の優先順位が決定され、それに基づいてまず、生活扶助に関する政策が確立し、それに社会福祉、社会保険政策が続く形で、順次政策プログラムが導入されていったといえる。このような3層モデルに従った社会保障体系の確立は、1970年代までに急速に押し進められたが、これ以降この3層モデルの融解とそこからの離脱が政策課題となっている。 また、これらの社会階層が急速に分解することを防止し、所得間格差が増大する場合には、社会保障政策の拡大が図られる傾向にあるが、その所得再分配に与える影響は、税制などと比較した場合、顕著なものとはいえない。むしろ高度成長期においては、成長率が高いほど、社会における所得分配の不平等が是正されるという傾向を示しており、経済成長が再分配政策の実質上の代替機能を果たしていたということができる。 このような所得を中軸とした社会階層の認識と、それに基づく会社保障政策体系の構築は、1955年以来40年近くにわたって政権を担当してきた自民党の経済成長と社会階層の急激な変化の抑制という2つの方向性を抱えるイデオロギーと適合的であったといえる。政権党のイデオロギー、会社階層の変化、及び会社保障政策体系の3つが、共振する形で、前後日本の福祉国家形成が進行したというのが本研究における評価である。
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