Project/Area Number |
06720048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Politics
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
日暮 吉延 鹿児島大学, 教養部, 助教授 (30253917)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 国際軍事裁判 / 戦争犯罪 / 日本占領 / 日米関係 / 政策決定過程 |
Research Abstract |
アメリカ、イギリス、ニュージーランド等の一次資料を調査収集し、東京裁判の起訴状の作成過程(従来ほとんど不明であった)における関係諸政府間の政治力学を分析した。 その結果、第一に、起訴状は、関係諸政府の対日処罰政策が交錯した帰結点であったことが解明された。すなわち、合衆国検察陣が「共同謀議」なる英米法特有の犯罪概念を戦前期日本の対外政策に適用し、日本が「共同謀議」によって侵略戦争を行ったという論理を確立していき、イギリスほかの英連邦諸国はむしろ日本の残虐行為の処罰に主たる関心を払ったうえで政策決定に重要な役割を果たし、さらに他の非英米法系諸国は英米法系諸国への対抗心から自国の利益を起訴状に組み込んでいった。こうした各国の利害対立を経て、起訴状は、多くの訴因と異例かつ複雑な構成を有することとなったのである。 第二に、東京裁判に内在する二つの側面(「文明の裁き」と「勝者の裁き」)の論理を明らかにしたうえ、その二側面が「安全保障」という根底的目的によって止揚されると立論した。すなわち、裁判の推進者たちは、侵略戦争を犯罪とする「平和に対する罪」に事後法の疑いを抱きつつも、社会防衛という公共性の見地から日本の指導者を処罰することで「規範」(=侵略戦争の犯罪化)の拘束力を高めることを裁判の公的意義とした(「文明の裁き」の論理)。しかし彼らは同時に、戦争責任を日本側に一方的に帰する公式解釈を確定し、日本人に自らの戦争の犯罪性を認識させることで、日本を戦勝国と協調しうる国家に改造するとの「権力」政治的な目的も担っていた(「勝者の裁き」の論理)。そして、これら二側面は、合衆国の安全保障政策--裁判を戦争の罪悪のシンボルとして操作することで日本の無力化を実現するもの--であったことによって止揚されるわけである。
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