Project/Area Number |
06730043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Economic history
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
城戸 照子 大分大学, 工学部, 助教授 (10212169)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | リヴェッロ契約 / モンテ・アミア-タ修道院 / トゥスキア / 荘園制 / 所領 / 地代 / 賦役労働 / 自有地農民 |
Research Abstract |
本年度の研究計画のうち、最も作業が進んだのは、モンテ・アミア-タ修道院の中世初期文書史料集に含まれたリヴェッロ契約文書の読解である。まず、文書の年代決定、古文書学と古書体学の諸問題に関する議論について、編者による詳細な史料解題を参照した。読解は、研究計画で対象とした63通総てを取り上げるにはなお至っていないが、かなりの部分を検討し終えた。さらに並行してコンピュータによる検索と分析のための分類項目を設定し、データベース化を試みている。文書作成年代、地名、契約地に含まれる土地種目、契約を示す文言、契約期間、契約者の法的身分、地代の内容、賦役労働の種類と量、契約違反時や満期時の規定の有無を取り上げ、トゥスキア地域とランゴバルディア地域の将来の比較検討の準備としている。 さらに、個別事例研究としてトゥスキア地域の、とりわけアペニン山脈に連なる山間部地域を取り上げたC.J.WICHAMの著作を検討した。農耕活動と未耕地での採集・狩猟活動が相互補完的に組合わさった中世初期の生産構造における、ミクロの地形の大きな影響力が再確認された。さらに、地形は土地所有の規模と所有者による土地経営にも影響する。一円的領域支配の可能性のあるポ-河流域平野部では、大修道院による荘園制が確立して従属的保有農民による開墾が展開され、大規模な穀作が進展した。他方、耕地が分散し小所領の多いアペニン山間部では、果樹栽培に重点を置いて、リヴェッロ契約により耕作する自有地農民の多さが注目されている。WICHAMの研究は生産活動のみならず、領主農民関係における地域比較の準拠枠の考察に示唆的であった。なお、研究計画がやや盛り沢山に過ぎ、ルッカ司教領のリヴェッロ契約文書と所領明細帳の読解及び総合的検討は、引き続いての課題としている。
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