Project/Area Number |
06730051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public finance/Monetary economics
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Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
羽森 直子 椙山女学園大学, 生活科学部, 助教授 (00238081)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
当該研究の目的は、ドイツ再統一の影響を経済的側面から分析し、中でも同国中央銀行の金融政策運営に対する影響に焦点を当てて考察することにある。ドイツ再統一は、事実上旧西ドイツによる旧東ドイツの吸収合併という形で実現し、旧西ドイツの中央銀行が統一ドイツの中央銀行となった。従って、再統一後の同行の金融政策について分析を行う上で、まず再統一以前の旧西ドイツにおける中央銀行の金融政策運営に関する基礎的知識を得ることが不可欠である。なかでも1967年に実施された金利の自由化は金融政策運営にとっても重要な出来事であったので、このことに関して詳しい分析を行い、以下のような結果を得た。1.旧西ドイツでは先進諸国に先駆けて金利の自由化が実現した。それを可能にした要因を一言で表現すると、「社会的市場経済原則」に基づく自由競争原則の貫徹ということになる。2.ただし、完全に市場原理にゆだねてしまうというやり方ではなかった点に注意する必要がある。つまり、このような早期の金利自由化によって民間金融機関に競争原理を導入し、経営の効率化を求め、資金の効率的配分をはかる一方で、そのような効率性の追求とは相いれない性格を持つ零細預金の優遇といった社会福祉的措置が政府によってとられた。3.金利自由化に伴う不可避のコストとして、弱小金融機関の整理統合が進展した。4.早期に金利自由化が実現したにもかかわらず、その後の金融自由化の歩みは英米と比べてきわめて緩やかなものにとどまってきた。つまり、旧西ドイツにおける金利自由化は金融革新の一貫として実施されたものではなく、むしろその後の金融革新の進展を阻害する要因の一つとなった。なおこの分析の結果は、「第10章:ドイツの金利自由化」、『社会科学と人間』、椙山孝金他編、成文堂、1995年3月末日刊行予定にまとめられている。
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