高度経済成長期における低金利政策の実効性についての実証的研究
Project/Area Number |
06730052
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public finance/Monetary economics
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
家森 信善 姫路獨協大学, 経済情報学部, 助教授 (80220515)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 人為的低金利政策 / 社債市場 / 金融機関貸出市場 / 鉄鋼企業 / 信用割当 |
Research Abstract |
高度経済成長期において低金利政策が実行されていたとされる金融市場には、日本銀行貸出市場、預金市場、民間金融機関貸出市場、社債市場、政府金融機関貸出市場などがある。このうち、民間金融機関貸出市場と比較しながら、社債市場における低金利政策の実効性を研究の主課題とした。従来の研究では、社債市場における低金利政策の実効性については比較的自明なものとされていたが、包括的な研究は乏しかった。そこで、社債の発行目的に関する統計(借入金の返済が主目的)や社債発行残高と金融機関貸出の相関などをOLSによる残差分析やグレンジャーテストによる因果検定によって調べ、社債市場における人為的低金利政策の有効性が1960年代中頃から低下していったことを明らかにした。ところで、従来の研究ではマクロデータに基づくものがほとんどであるため、企業を差別的に取り扱うという人為的低金利政策の本質を無視してしまうことになる。また、どのような基準で信用の割当が行われていたかを知ることも(人為的低金利政策が意図した)成長政策の評価に不可欠である。そこで、当時社債の発行がもっとも優遇的に認められていた鉄鋼企業について個別バランスシートを使ったミクロ的な実証研究をあわせて行った。それによると、上位企業ほど社債発行の自由度が高いが、上位企業でも好きなだけの社債を発行できたわけではなく、上位鉄鋼企業においてすら社債市場における信用割当に直面していたのである。次の諸点を今後の研究課題としたい。(1)社債市場において低金利政策が実効的であったと考えられるが、他の金融市場ではどうであったのか。政府系金融機関の歴史的な役割の検討は今日的な課題でもあろう。(2)社債市場における低金利政策の実現がわが国の金融構造にとのような影響を与えたのか。(3)諸外国においても似たような政策がとられていたのであろうか。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)