Research Abstract |
代数群の作用を受ける代数多様体の研究にあたって、本年度は、有限群Gの作用を受ける正規射影代数曲面Xであって、商曲面X/Gが、射影平面P^2と同型になるような(X,G)の例を具体的に構成することを試みた。言い換えれば、P^2の、与えられた分岐を持つガロア被覆の構成である。得られた結果は、次のようである。qを正の奇数として、B_q={(x:y:z)∈P^2|x^q=y^2z^<q-2>}、CをP^2の無限遠直線とし、P^2上の正因子 eB_q+mCを考える。この時、(e,q)=(2,q)、(3,3)、(4,3)、(5,3)、(3,5)ならば、(P^2,eB_q+mC)の絶対ガロア群G(e,m;q)は有限群であって、それらの構造を完全に決定した。例えば、(e,q)=(3,5)のとき、G(3,m;5)【similar or equal】{1}(m≡1,5,7,11 mod 12)、PSL(2,Z/5Z)(m≡2,10 mod 12)、Z/3Z(m≡3,9 mod 12)、SL(2,Z/5Z)(m≡4,8 mod 12)、PSL(2,Z/5Z)×Z/3Z(m≡6 mod 12)、SL(2,Z/5Z)×Z/3Z(m≡0 mod 12)である。 更に、(e,q)がこの五つの場合、(P^2,eB_q+mC)の極大ガロア被覆が存在するための必要十分条件も得た。例えば、(e,q)=(3,5)のとき、(P^2,3B_5+mC)の極大ガロア被覆Xの存在するための必要十分条件は、m=2,3,4,6,12である。このとき、Xは、正規射影有理的代数曲面になる。 以上の結果及び、関連する研究成果については、論文「On some maximal Galois coverings over affline and projective planes」(投稿準備中)にまとめ、平成7年3月日本数学会において、発表予定である。
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