Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
局所対称空間の基本群は多くの場合,数論的部分群とよばれるリー群の離散部分群になる。これらは有限個の生成元と関係子によって記述できることが知られているが,可換でないため相当複雑な群になる。このような群の複雑さをはかるためのものとして,等周不等式がある。近年,2次以下の等周不等式をもつ群は負曲率の空間と密接な関係があることが知られてきて,そのような群を特徴付ける様々な概念が導入された。例えば,(計算機科学の)オートマトンを使って記述することのできるオートマティック群とか,その幾何学的性質を更に一般化して定義されるcombable群とかである。しかし,様々な概念(他にもある)が導入されたが,それからがどの程度同じ(或は異なる)ようなものかは,まだはっきりせず,これらを識別するための具体的な例が必要であり,上記数論的部分群はいくつかの場合の候補となっている。そこで私は局所対称空間のエンドを切り落として得られる多様体の普遍被覆上である種の高次の等周不等式を考察することによって,ヒルベルトモジュラー群がcombableでないことを示した。これは以前の局所対称空間のエンドの研究を使って,エプシュタイン・サ-ストンの結果を一般化したものである。とくに,実2次体に付随するヒルベルトモジュラー群はcombable群であろうという,ゲルステン・ショートの予想があったがそうではないということが判明した。以上,論文にまとめて,現在投稿中である。
|