Research Abstract |
4次元多様体(以下、Mと書く。)に埋め込まれた閉曲面(以下、Fと書く.)の位置に関して、今年度以下の研究成果が得られた。尚、これらの成果に関する論文は投稿中および投稿準備中である。 1.Mが向き付け可能な閉多様体で,Fが実射影空間あるいはクラインの壺の場合に,Fの法円板束Nの境界上の向きを保つ自己同相写像が,N全体の同相写像に拡張するかどうかについて調べた結果,次の事実が得られた。 (1)Nの法オイラー数が零でない場合に,位相空間対(M,F)の相対同相類は,Fの外部(すなわち、M-Fの閉包)と,法オイラー数によって決定される。つまり,Nの境界上の向きを保つ自己同相写像で,メリディアンを保存するものは,必ずN全体に拡張される。 (2)Nの法オイラー数が零で,Fが実射影空間の場合には,(M,F)の相対同相類は,Fの外部のみでは決定されない。より詳しくは,Nの境界上の向きを保つ自己同相写像で,メリディアンを保存するものの全域イソトピー類は2種類あることを示し,さらにその一方はN全体に拡張されないことを調べた。 2.Mが向き付け可能な閉多様体で,Fが種数2以上の有向閉曲面あるいは,向き付け不可能な閉曲面の場合に,1.と同様な問題を考えることにより,次の事実が得られた。 法円板束Nの法オイラー数が零の場合に,(M,F)の相対同相類はFの外部と法オイラー数により決定される。つまり,Nの境界上の向きを保つ自己同相写像でメリディアンを保存するものは,N全体に拡張される。 2.の場合で法オイラー数が零でない場合については,今後引き続き研究していく計画である。
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