重イオン反応における多重破砕反応の動的・統計的側面の研究
Project/Area Number |
06740193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
素粒子・核・宇宙線
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 明 北海道大学, 理学部, 講師 (70250412)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 重イオンの反応 / ゆらぎ / 統計力学 / 多重破砕 / 相転移 |
Research Abstract |
有限核子多体系での統計的性質と熱い原子核の多重破砕反応を調べるため、本年度は、次のような段階で研究を行った。 (1)原子核の統計的性質の微視的シミュレーションによる研究 ここでいう系の統計的性質とは、例えばある温度を与えた場合に平均の励起エネルギーがどのように振る舞うか、などを指している。本年度の研究で、12^C,40^<Ca>などの原子核の統計的な性質を反対称化分子動力学(AMD)、量子分子動力学(QMD)を用い、波動関数がHamiltonianの固有状態でない効果を取り入れて調べた。その結果、低温での量子的な振る舞いから、高温で古典的な振る舞いへの移り変わりが正しく記述できることを示した。 これらは量子論的な統計的性質を取り入れた意味で微視的なシミュレーションの枠組みでは初めての結果であり、'94年9月から12月にわたって行われたINT(Institute for Nuclear Theory,Seattle)program "Hot and Dense Nuclear Matter"にて報告され、好評を得た。 (2)量子統計性を取り入れた微視的シミュレーションとその重イオン反応への応用上記の結果をもとに、量子統計的な性質をダイナミックスに取り入れる定式化を行い、重イオン反応へ適用した。 定式化の結果得られる理論は、"量子的ランジュバン方程式"という新たな理論を示しており、微視的な理論-つまりあらわな熱浴がない理論-での温度・揺らぎ等の起源が扱っている波動関数の波束性(エネルギー固有状態でない)であることを示した。この結果は、Physical Review Letters誌に投稿されており、現在Refereeとの議論を行っている最中であるが、基本的には論文の価値が認められている。 更に、この枠組み重イオン反応に適用した数値計算を現在行っている最中である。現在の研究段階はpreliminaryであるが、熱い原子核の多重破砕反応について非常に興味深い結果を得つつある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)