Project/Area Number |
06740200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
素粒子・核・宇宙線
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 成人 筑波大学, 物理学系, 助手 (70251030)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 格子場の理論 / 標準模型 / ペンギンダイヤグラム / CP不変性の破れ / ハドロン行列要素 |
Research Abstract |
交付申請書にあるように、この研究ではK→ππ崩壊確率振幅の、格子場の理論による計算方法の開発及びその確立を目的とした。この崩壊確率振幅の非摂動論的な計算は標準模型のもつ未知量の決定には欠くことのできないものである。この過程の数値的な計算方法として三つの方法を試みた。一つめはππ散乱長の計算に用いられたゲージ不変法である。K→ππ過程の終状態はππ散乱のものと同じであるので、この方法が有効であると考えられた。しかし、この過程特有のペンギン・ダイヤグラムの計算にはこの方法は有効ではないことが分かった。ゲージ不変法を用いる場合、計算するダイヤグラムの揺らぎが小さくなくてはならないが、ヒスト・グラムを用いて調べる各配位ごとに平均値およそ±100%の極めて大きい揺らぎがある。 次に、この大きい揺らぎを、ゲージ固定とポイント・ソースを用いて押えることを試みた。この際、弱い相互作用の演算子はある時空点に固定される。この方法は弱い相互作用の(V-A)×(V-A)演算子に対しては有効ではなかったが、(S-P)×(S-P)演算子に対してはは極めて有効であることが分かった。この演算子はCP不変性の破れを特徴づけるパラメータε′/εを計算する際使われる。したがって、この方法を用いることによってε′/εを求めることが可能であるが、現在使用している計算機が十分な記憶容量と計算速度を持たないため、これを断念せざるをえなかった。しかし、有効な計算方法が分かっているので、今後、この方法を用いた計算を高エネルギー物理学研究所で行なう予定である。 最後に十分な記憶容量と計算速度を持たない計算機でも使えると思われる方法を用いた。それはカイラル模型を用いる方法で、この方法ではK→π過程の確率振幅からK→ππのそれを求めることができる。結果はポイント・ソースを用いた方法と同じように、(V-A)×(V-A)演算子についてはその統計誤差が大き過ぎ、この方法も有効ではなかった。しかし、(S-P)×(S-P)演算子はその物理的値を得ることができるほど統計誤差がおさえられていた。計算はクオークの質量が大きいところで行なったので、ε′/εの物理的な値を求めるためにはこの計算を、質量を変えながらつづける必要がある。これも、今後、高エネルギー物理学研究所で行なう予定である。 このように、今年度はまだK→ππ崩壊確率振幅の物理的に意味のある値を求めるまでに至っていない。しかし、計算方法の開発及びその確立いとう目的は十分に達成された。よって、今年度の研究成果をもとにひき続きこの崩壊確率振幅の研究を行なう予定である。
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