イオン注入による絶縁体中での半導体,金属超微粒子の生成とその物性
Project/Area Number |
06740250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
岩山 勉 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (70223435)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | イオン注入 / シリコン微結晶 / ナノサイズシリコン / 可視発光 / 量子サイズ効果 / 二酸化シリコン |
Research Abstract |
高エネルギー物質流であるイオンビームを用い、シリコンイオン注入による二酸化シリコン中でのシリコン超微粒子の形成、さらにはその可視領域での発光の可能性を詳細に調べた。発光スペクトルの測定を行った結果、シリコンイオン注入直後の試料において2.0eV近傍(2.0eV発光帯)に発光が測定されることを見いだした。この2.0eV発光帯の注入量および注入時の基板温度依存性を測定した。その結果、発光のピークエネルギーが、注入量の増加、また注入時の基板温度の上昇とともに低エネルギー側へシフトすることがわかった。さらに、電子スピン共鳴(ESR)測定からこの発光帯は注入時に生成したE'中心(酸素空孔)の熱処理による消滅と平行に消滅し、600℃での熱処理により完全に消滅することがわかった。これらの結果からこの発光はシリコン微結晶に起因するものではなく、シリコンイオン注入により生成した局所的にシリコン過剰なSiO_x(0<x<2)中での電子-正孔再結合によること、さらにxの値の変化により発光のピークエネルギーがシフトすることを明らかにした。 さらに研究の主目的であるシリコン微結晶を二酸化シリコン中に析出させるため、初期的に形成されたSiO_x層が不安定となる温度まで、さらに高温で熱処理を行った。光吸収測定、透過電子顕微鏡観察、およびラマン散乱測定により1100℃での熱処理前には存在しないシリコン微結晶が、相分離反応の進行にともない二酸化シリコン中に形成されることがわかった。さらに、シリコン微結晶の形成にともない1.7eV近傍(1.7eV発光帯)に発光が観測されることを見いだした。この1.7eV発光帯の注入量および注入時の基板温度依存性を測定した。その結果、発光のピークエネルギーは、注入量、注入時の基板温度、さらには熱処理時間に依存しないことがわかった。また、この発光帯の発光強度の熱処理時間依存性の測定を行った。その結果、発光強度は注入条件によらず、熱処理時間の増加とともにはじめは増加し、またその後処理時間の増加により減少することがわかった。発光のスペクトルの励起波長依存性を調べた結果、励起エネルギーを変化させても発光スペクトルの形状は変化しないことがわかった。さらに、この発光の励起スペクトルの測定を行った。その結果、発光強度は励起エネルギーの増加にともなって増加することがわかった。また、この励起エネルギーの増加にともなう発光強度の増加が、短時間熱処理した試料では高エネルギー側でより顕著であり、また長時間熱処理した試料では高エネルギー側で発光強度の飽和傾向が観測されることがわかった。これらの結果から、量子サイズ効果によりバンドギャップが広がったナノサイズシリコン微結晶がフォトンを吸収し、生成した電子-正孔対がナノサイズシリコン微結晶と二酸化シリコンの界面部位で再結合し、1.7eV近傍の発光を誘起することが明らかになった。さらに、3-4nm程度の比較的限られたサイズのシリコン微結晶のみがこの発光に寄与することがわかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)