Project/Area Number |
06740251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 啓行 大阪大学, 理学部・物理, 助手 (60223179)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 質量分析 / 水銀セシウムクラスター / 銀クラスター / 伝導電子の殻構造 / 同位体選別水銀 |
Research Abstract |
同位体選別水銀を用いることにより、質量スペクトルにあらわれるピーク高の減少を押さえ伝導電子の超殻構造を観測することが本科研費での研究目的である。 磁場型二重収束質量分析計では、観測できる質量範囲を広げるためには、イオンの加速電圧を下げる必要がある。同位体選別をおこなっていない通常の水銀を用い、加速電圧を低下させ実験をおこなったところ以下のような事がわかった。平成5年度の科研費(奨励研究A 05740204)で製作したイオン源(粒子衝撃型イオン源)で生成した水銀セシウムクラスターは、気相反応でイオンとなる割合が多く、イオン源内の電場分布を反映する運動エネルギーを持っていた。その内容は、94年度質量分析連合討論会(大阪府大2-p-11)で発表した。 二重収束質量分析計は、質量分解能を高めるため、ある範囲の運動エネルギーを持ったイオンのみを通過させる電場を用いている。その範囲外のイオンを除外することにより高い分解能を得ている。通常の水銀試料を用いた予備実験の結果、我々の生成した水銀セシウムクラスターは、運動エネルギーの分布が大きいため作られたイオンのうち電場を同通過できるイオンの割合が少ないことが判明した。同位体選別をした貴重な水銀試料を用いた実験をおこなうには、現状のイオン源の性能が不十分であると判断した(同位体選別水銀は購入済み)。 そこで、イオン源を含めた質量分析装置の性能を検討するため、クラスターの構造と安定性が理論的によく説明されている銀クラスターで、生成クラスターの運動エネルギーの分布に注目して、実験をおこなった。クラスターサイズによるイオンの運動エネルギーを測定した結果、質量分析計を通過するビームの形状を制御するQレンズを調整することにより、質量スペクトルにあらわれる銀クラスターの伝導電子の殻構造の証拠を明確に確認することができた。以前のスペクトルでは、殻構造になることが予想されているクラスターサイズn=93,139付近においてなだらかに強度の特異な減少が確認される程度であった。今回の実験では,n=93,139で階段状の強度変化を観測することができた。この結果は、95年度質量分析連合討論会(都立大1-p-28)で発表予定である。 同位体選別水銀を用いた実験は、イオン源を改良後実施する予定である。
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