Project/Area Number |
06740302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
江藤 幹雄 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00221812)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | メゾスコピック系 / 量子ドット / 超微粒子 / 電子相関 / ホッピング伝導 / 光吸収 / スピン軌道相互作用 |
Research Abstract |
半導体の微細加工技術で作られる0次元系(量子ドット)や超微粒子での電子相関効果の解明のため、今年度は次の3つの側面から理論研究を行った。 まず量子ドットの集合系での電気伝導特性において、電子間相互作用と干渉効果の両者が競合する効果を究明した。特にスピン軌道相互作用の働く場合、及びドット中の複数レベルの影響が重要な場合に対して計算を進め、電気伝導の磁場依存性を導出した。計算結果は銅微粒子フィルムでのホッピング伝導の実験結果と良く一致することが分かり、また量子ドット集合系でその効果が観測される条件を議論した。その成果をまとめた論文はPhysical Review B誌に掲載予定である。 第2に、超微粒子での電子状態とその集団励起への多体効果を調べた。球や球殻構造を持つ導体の光吸収スペクトルへの量子効果を第一原理から計算する方法を開発し、乱雑位相近似の範囲でスペクトルの特性を系統的に調べた。特にピークの幅に量子効果が顕著に現れることを示し、実験結果と比較を行った。その結果は微粒子の国際会議(神戸、9月)で発表し、また論文にまとめた(Physical Review B誌に発表予定)。現在その計算を拡張し、微粒子の環境が光吸収に与える効果を研究中である(H7,3月の日本物理学会で発表予定)。 第3に、単一の量子ドットに閉じこめられた少数電子系における多体効果を幅広く調べた。手法としては大規模な数値計算と摂動計算の2つを併用した。特に少数電子系で引力が働く場合に、電子数の偶奇に対する非対称性が現れることを初めて示した。それは有限系での超伝導状態の研究にとって重要なだけでなく、超伝導物質で作製された量子ドットの伝導特性で観測される可能性があることを指摘した。現在その研究の論文を投稿中である。
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