Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
1.大気大循環モデルに精密な放射過程と雲水量,雲被覆率のパラメタリゼーションを組み入れ,気候値の再現実験を行った.ERBEおよびISCCPの衛星データおよび客観解析データを用い,モデルの結果を評価した.(1)パラメータの調整により,放射フラックスや雲の放射強制力の緯度分布を東西平均で10W/m^2程度の精度で再現することが可能となった.(2)大気上端赤外放射量の再現のためには,積雲からの水の吹き出しと氷の落下過程を適切に表現すること,氷雲の粒径を40μm程度に大きくすることが重要であった.(3)下層の雲に関して,東西方向の分布の再現性に問題が残る.特に沈降乾燥域での大きな雲被覆が良く再現されていない.この改良のために,雲と水蒸気の鉛直スケールが小さい効果を適切に取り入れる必要性が示唆される. 2.簡単な地表境界条件を設定した大気大循環モデル実験を行った.(1)全地表を海とし,海面水温を与えた3次元実験により,積雲に伴う雲の放射効果が積雲の分布や大循環に与える影響を評価した.雲の放射効果によって積雲域の加熱が強まることにより,積雲の分布や低緯度のハドレー循環のエネルギー収支に大きな影響が現われることなどが示された.(2)全地表を陸とした東西-鉛直2次元実験により,放射過程の大気-地表面の水循環に対する重要性を検討した.雲の放射過程を考慮した場合には負のフィードバックが強まり,降水量が地域的に平均化される傾向があることなどが示された. 以上の結果から,放射過程,特に雲との相互作用が,大規模運動や雲活動と加熱場との間のフィードバックを通して低緯度大気循環場の形成に重要な役割を担っていること,その表現のためには,雲水量と雲被覆率に関与する諸過程を適切にパラメータ化する必要性があることが明らかとなった.
|