電気化学トンネル分光法による固体/溶液界面の電子状態の決定
Project/Area Number |
06740428
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
叶 深 北海道大学, 理学部, 助手 (40250419)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1994: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 電気化学トンネル分光測定 / トンネルバリヤ高さ / GaAs |
Research Abstract |
本研究は真空中での走査型トンネル分光法(STS)に対応した電気化学トンネル分光法を開発し、金属及び半導体単結晶電極/溶液界面の電子物性を電気化学条件下で決定することを目的に行なっている。平成6年度に交付された奨励研究費により、サンプリングホールド回路をNano Scope Iに組み込みなどの改造により、バイアス一条件下で探針と試料間の距離を変化させたり、探針-試料距離一定条件下でバイアスを走査したりすることが可能となった。さらに試料と探針の電位はバイポテンショスタットで独立に制御し、真空中での測定とは異なり、試料及び探針のフェルミ準位を各々規定しての測定が可能である。電気化学トンネル分光システムの構築を完成した。このようなシステムを用いて、半導体および金属単結晶電極についての電気化学トンネル分光測定を行った。 a.半導体単結晶電極:n型およびp型GaAs(100)で観測されたトンネル電流の挙動は電極電位や探針電位やド-ピング密度などに強く依存することが確認された。n-GaAsの場合、フラットバンド電位より負電位側では、n-GaAsから探針の空準位へのトンネル電流が流れるが、電位がフラットバンド電位より正になると、トンネル電流が流れなくなった。これは空間電荷層が形成されたのである。電位をさらに正にしていくと、+2V付近からの逆向きの電流がわずかに流れ始めた。これは探針のフェルミ準位付近でのGaAsの空間電荷層の厚みが薄くなった結果、探針からGaAsの伝導帯への電子のトンネリングが可能になった結果であろう。この際表面準位が重要な役割をはたしている事を種々の表面処理の効果により確かめた。 b.金属単結晶電極:Pt(111)とAu(111)の電気化学挙動を確認しながら、トンネル電流の距離依存性を測定し、平均バリヤ高さを見積もった。測定条件の改良を重ねた結果、電気化学条件下で決定したPt(111)及びAu(111)の平均バリヤ高さは0.50〜0.60eVとなり、前年度で報告した結果より高い値となるが、いずれも白金や金の仕事関数より小さい値となった。このほかI-V曲線や表面修飾効果の測定も行った。現在、面内におけるトンネルバリヤ高さの二次元的な分布を測定するために、ハードとソフトの開発を進めている。
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Report
(1 results)
Research Products
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