Project/Area Number |
06740433
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 洋 東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (20213803)
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Project Period (FY) |
1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1994: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 表面反応 / 触媒 / 固体表面 / 金属酸化物 / 結晶成長 / 原子分子操作 / 二酸化チタン |
Research Abstract |
固体表面の化学反応は、基礎的・応用的な観点から今日もっとも注目されている化学現象の一つである。本研究では、走査トンネル顕微鏡で反応中の表面をその場観察することによって、これまで間接的にしか得られなかった固体表面の動的過程を原子レベルでとらえることに成功した。 まず、TiO_2(110)表面(1×1)構造の原子像をはじめて観察し、さらにギ酸イオンの吸着を利用して表面の金属原子(Ti)と酸素原子を判別して、これまで議論の分かれていた構造モデルを確定した。ギ酸イオンの分子像はLUMOの空間分布を反映して、O-C-O骨格と垂直な方向に伸びた楕円形であった。ギ酸イオンのように単純な化学種において電子軌道の形状を反映した分子像が得られたことは、STMの吸着分子配向を決定する能力を示している。また、STM観察中のギ酸吸着表面に高電圧(およそ+4V)を加えることによって、チップ直下のギ酸イオンを選択的に電解蒸発させて表面から取り除くことができた。 この電解蒸発現象を利用してギ酸イオン吸着層に空白領域を作成し、外側からギ酸イオンが流入する過程を連続観察した。空白領域の収縮速度から、ギ酸イオンがTiカチオン列に沿った[001]方向へ移動する速度を室温で0.15nm/minと決定した。Ti列を横切る方向への移動速度は、その1/10ないしそれ以下であった。突出した酸素イオン列がギ酸イオンの移動に対する障壁となっているであろう。空白領域に取り残されたギ酸イオンは(2×1)吸着層にのみ込まれるまで動かないことから、表面拡散の駆動力は隣接イオン間にはたらく反発力であることがわかった。このように、チップによる表面のナノ加工とSTMによる連続観察とを組み合わせること手法は、吸着種の動的挙動を原子分解能で解明する有力な方法となる。
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