Research Abstract |
レーザーアブレーションによっておこる粒子生成の機構を明らかにする目的で、放出される一価イオンの速度、生成量の挙動を、時間分解質量分析法を用いて調べ、粒子生成のトリガと生成後のエネルギー分配について主として解析した。高真空中(〜10^<-8>mbar)においたCa,Sr,Ba及びCuの金属ディスクにArPエキシマレーザーを照射してアブレーションをおこさせ、生成した一価イオンを四極子資料分析計で時間分解測定し、飛行時間分布(TOF)スペクトルを得た。 レーザーエネルギー密度が比較的弱い領域では、TOFスペクトルは、重心速度の補正を行ったMaxwell-Boltzmann分布で良く説明できる。この結果より生成した粒子は熱平衡に達していると結論できる。この時の温度は、照射したレーザーのエネルギー密度に比例するが、これは、一旦生成した粒子が、さらに光エネルギーを吸収し、それが運動エネルギーに交換されるとすると、比較的単純な仮定のもとに導かれる結論に一致する。粒子の生成量は、レーザーエネルギー密度のべき乗に比例し、多光子過程による、粒子生成機構を示唆する。各金属におけるべき乗則の指数と、電子状態のエネルギーダイアグラムを比較した結果、内毅の最高準位にある電子をフェルミ面以上に励起することが、粒子生成のトリガになっいると考えると、この4種の金属の挙動が全て説明できる。
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